きゃらめるぽっぷこーん 

映画鑑賞メモ保管場所 mottoは簡潔に

ファーザー

 

ネタバレしないようにしていたけれど、なんとなくの内容はわかっちゃってたからなぁ。
未知の状態で観たならば、これはかなり驚いたと思う。

痴呆が始まった高齢のひとり暮らしの父を心配する娘の話。
物語の入り口としては他人事ではない、いつか我が身に起こるかもしれない話なんだけど、娘が突然が違う人として現れたところから、何が起きたのかと私も一緒に混乱しました。

知らない人が自分の家にいる。怖いよね、いったい何が起きているんだと混乱する。アンソニーは心細かったろうな。
演出はホラーサスペンス風になっていて、何が現実なのか何が虚像なのか判断できない恐怖さえある日常。
痴呆症になっていくアンソニーの視点で描かれていて、まるで追体験するようだった。

フラットと呼ばれる自宅。広々とした間取りで素敵なお家よね。家具も調度品もどっしりと風格があって、彼のこれまでの暮らしを想像する。
ひとりで暮らすには広い家だなぁっていう最初の印象だったけれど、間取りやキッチンのカタチが同じようでいて少しずつ変化していることに気付く(ホラーだよね)
奇妙だけど、そこからくる情報が多くて否応なしに集中しました。

エンジニアとして生きてきたアンソニーの人生や、若くして亡くなった妹や、アンと父との関係性。そこに思いを馳せる奥深さがあって、誰にでも訪れる人生の終焉について考えてしまう奥深い作品でした。

介護される身となったとしても幼い子供のように扱われることは嫌だと常々感じていたので、インテリを自負しているアンソニーの反発には納得したけれど、そんな彼が最後に母を求めて子供のように泣く姿は心が痛くて辛かった。ママに迎えに来て欲しいと、、
木々の緑を観ながら我がことのように胸が締め付けられました。
アンソニー・ホプキンスの名演技でした。
オリヴィア・コールマンも素晴らしかった。