きゃらめるぽっぷこーん 

映画鑑賞メモ保管場所 mottoは簡潔に

真夜中乙女戦争

 

最初に感じたこと、声がいいよねー、「私」の声がいい。
今作のイメージの大きな要因になっているような気がする。
そしてとても美しい映画だった。

冒頭で「私」がこの作品は110分で終わると名言したので思わずニヤッとした。
そっか、これから始まることが寓話であることを宣言したんだな、って。
東京タワーから街の夜景が逆さまに映り、ぐるぐる回り、現実世界と違う世界に行ったり来たりしているんだという導入でした。

難解かもしれないという評判だったけれど、比較的わかりやすい作品だった
ともかくネタバレを一切避けたので公開初日に鑑賞、
ファイトクラブをもう一度観ておこうかとも思ったけど時間がなく、観なくて正解だったかもしれない。

黒服に影響を受ける「私」という関係だけれど、実は黒服は「私」の中に存在するものじゃないかとも想像できて、柄本さんがあえて存在感を重くしないように演じているんじゃないかと思ったりもした。
池田エライザさん演じる先輩がもっとミステリアスな役かと思いきや、真っ当に存在していそうな、私を現実に引き戻してくれるような役割でしたね。
先輩に思いを寄せる「私」だけれど、恋愛というよりは、二人はとても似ていて、まるで双子のような関係性を感じた

ともかく廉くんのビジュアルがとても綺麗、ああ綺麗だな、、思わず何度も思ったし(エライザさんも綺麗)、目の表情がいい。
そして鬱屈とした大学生で、母親だったらつかみどころがなくてイライラする男の子だった。出演者はほぼこの3人で、素晴らしいキャスティングでした。

あえていうなら、中盤の黒服が徒党を組んで反社会的にエスカレートしていくあたりが少し弱いというか、もっと過激で危険だったらよかったけれど、逆に今の時代は凶暴性が見えない方がリアルなのかもしれない。
その後に続くラストまでの流れが良かった。
私と先輩が向かいあう場面、私と黒服が対峙する場面からのクライマックスは息を呑んで観た。
東京が破壊される映像が感動的に綺麗で最高のエンディング。
私がコロナ禍の今を笑顔で生きていると信じたい。

ビリーアイリッシュの曲を聴きながらのエンドロールの余韻が気持ちが良かった。