きゃらめるぽっぷこーん 

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窓辺にて

 

かなりの会話劇で始まり、登場人物の関係性をつかむまでは少しとまどったけれど、妻の浮気を知っても、怒ることも言い出すこともできないフリーライター・市川茂巳の物語であると理解してからはすんなり入ってきた。

会話と生活音、音が途切れる瞬間もあり、彼らの日常生活に溶け込んだようなゆったりしたリズムが心地よかった。

妻に浮気されたのに怒りが湧かない主人公市川茂巳(稲垣吾郎
浮気しながら感情が見えない市川紗衣(中村ゆり
茂巳の友人でこれまた妻に内緒で浮気している有坂正嗣(若葉竜也
その浮気相手でタレントの藤沢なつ(穂志もえか)

不倫の話だけど、そこがメインテーマでもないんですよね。
そもそも浮気というか、人を愛するって何だろうって考える。

ラ・フランス」という作品で受賞した高校生作家の久保留亜(玉城ティナ)が物語を良い感じに動かしていて
交際相手への素直な感情が可愛くて面白い。

手に入れたものと、手放す人の話。
ちょっと哲学的。

タクシー運転手がパチンコって時間も金を消費していく贅沢な時間だって話から、パチンコに行くところ面白かったね。

今泉監督が稲垣吾郎を当て書きした脚本だけあって、すごくしっくりくる。
主人公が稲垣吾郎そのもののように感じるんだけど、でも主人公は吾郎ちゃんじゃなくて市川茂巳なんだよね。
絶妙な演技力でした、素晴らしい。

タイトルの「窓辺にて」
カフェの窓辺で思いがけず高校生作家の久保留亜とパフェを食べることになった光のような瞬間、そして光(光の指輪)
理屈ではなくあぁ、人生って瑞々しく幸せに溢れてると感じることができる。

彼らの心情はほぼ観てる私たちに託されてて、だからこそいつまでも考えてしまう思慮深い作品。
やっぱり今泉監督最高です。