きゃらめるぽっぷこーん 

映画鑑賞メモ保管場所 mottoは簡潔に

The NET 網に囚われた男




それにしても、どーしたんですか?
本当にキム・ギドク監督?
って言いたくなるくらいに、
わかりやすくて素直な作品。

ちょっとびっくりです、キドクさん。
拒みたいのに陥るような強烈な毒気が消えてしまった(笑)




私でも泳いで渡れそうなあんなに狭い川なのになぁ、
越える気がないのに越えちゃうようなどこにでもある川なんですよ、ホント。

船が漁網に引っかかったトラブルで南北の境界を越えてしまったチョルの、行くも地獄、帰るも地獄な話。

ストーリーとしては、なんとなく先が読める気がしたけど、
引き込まれていろいろ考えました。

チョルは運動神経抜群だし、頭の良い人よね、優しくて情があって、のみ込みも早い。
自由な国で暮らしてたら、いい仕事たくさんできた人なんだろうって、そういう別のこと感じながら観てました。
彼の人生が不条理過ぎる。

自分は網で魚を捕りすぎた、だから今は自分が網にかかったようだ、、というつぶやきは、
どうしようもない状況であることをちゃんと悟ってる、覚悟もできうるやっぱり頭の良い人だわ。
比較して、国家の名を借りて彼を取り締まる役所の人たちが病んでいるように見える。

警護官のオ・ジヌとが善意で持たせてくれたお金(ドル)が
彼がスパイであるという証拠になってしまうのかと絶望したけど、
あらら、逆にその金が賄賂のようになって、彼を解放してくれるとはね、、意外な展開。

冒頭は夫婦の極めて健康的な営みで始まるのが微笑ましかったんだけど、
で最後は彼は奥さんの誘いも受けられないくらいに生(性)に対しての意欲を失ってしまった。

彼は誰(国)から縛られない自由を選んだんだのね、ラスト。

祖国が統一したらまた会おうって言い合えたオ・ジヌとの関係が唯一ホッとしました。
いつの日かそれが実現したらいいと心から願います。