きゃらめるぽっぷこーん 

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バーニング 劇場版



前作の「ポエトリー」から8年。
寡作な監督さんですよね、楽しみにしてるけど突きつけられるものが多くて
毎回悩むんだけど、今回はさらに難解でした。

村上春樹さんの小説の映像化するというNHKの企画から始まったもので、第一弾として作られ、原作は「納屋を焼く」。
2018年12月に95分の短縮版として放送され、翌年の2月に「バーニング 劇場版」として劇場公開されたそうです。

カンヌやアカデミー賞では評価は良かったけど、韓国では動員が50万ちょっとらしいので興行的にはぱっとしなかったんですねぇ。


一番印象に残ったのは、ジョンスのパジュの家の庭先の夕日の場面。
ヘミが半裸になってダンスをするシーンは彼女が今ここで生きているという美しさを最大限に表現してた。綺麗だったねー。

さらにそこでベンが語ったこと。
定期的にビニールハウスを焼いているということ。
衝撃的すぎる!

いくら朽ちたビニールハウスを選んだとしても、いやそれはダメでしょ犯罪でしょって思うけど、そういうのはいくらでもあるし、焼けたとしても誰も問題になんてしない、って、、、いやいや、金持ちのストレス発散というより、性癖っぽい雰囲気もあって、
月に一回くらいって言ってるし、なんか不穏だなって思ってる矢先にヘミがいなくなって一気にサスペンスの様相に。

ものすごく怖くないですか?焼けてなくなってもだれも問題にしない存在って、、、
存在しているってとういうこと?って思えば思うほど、マジックアワーのヘミが存在している半裸の美しさが際立ってくる。

ここにミカンがあるって思わないで
ミカンがないことを忘れたらいい

食べることに飢えたリトルハンガーと
生きることに飢えたグレイトハンガーの話

ヘミはジョンスの幼馴染なんだけど整形してるので最初はわからなかった
そもそも、彼女自体が本当に存在している人なのか
それさえも途中からいないことを忘れたらいいの?って混乱しましたわ。

でも本当のことはわからなくて、スティーヴン・ユァン演じるベンが狂気の人かもしれないけど、苦労知らずの金持ちでただのいい人かもしれなくてわからない。
得体のしれない不気味さが上手でしたね。
ユ・アインは人気のある若手俳優だけど、「ベテラン」で悪役御曹司を演じてて凄かったのよ、キレキレで。
今回は朴訥とした田舎の青年でまた全然違う。いいよねぇ。

ドラマ版は小説家志望のジョンスが小説を書く画面で終わったらしいんだけど、
劇場版は衝撃的すぎるエンディングを迎えます。

終わってからぐるぐるぐるぐるするよね、うん、イチャンドン監督だもん。
「何を書いたらいいのかわからない」と言っていたジョンスがやっとなにかを表現しようとしたのかなって小説の中の物語のようにも感じるし、これは正解はないんでしょうね。

「死ぬのは怖いから最初からいなかったみたいに消えたい」と言ったヘミ。
なんかさ、みんな孤独で寂しくて辛い。

因みに、イチャンドン監督の今までの作品は自身が脚本を書きおろしてたような気がするんだけど、今回は原作ありだったので、少しいままでとちょっと雰囲気が違うような、そんな気が個人的にはしたのでした。